ニュースの概要
電動屋外作業機器メーカーのOso Electric Equipmentが、AIを使った自律型造園ソリューションを手がけるElectric Sheep Roboticsを買収したと発表した。Electric Sheep Roboticsは、芝刈りをはじめとする屋外作業の自動化技術を開発してきた企業である。今回の買収により、バッテリー駆動の機械本体と、自律走行やAI制御のソフトウェアを、一つの会社で組み合わせられるようになる。狙いは商業造園向け製品の展開を速めることで、背景には深刻な人手不足があるとみられる。機械メーカーとロボット企業の統合は、造園分野ではまだ珍しい動きである。買収額などの詳細は、確認できた範囲では明らかになっていない。
引用元: Oso Electric Equipment、AI自律型造園ロボット企業Electric Sheep Roboticsを買収(AI Insider)
分析・見解
機械メーカーがソフト企業を取り込む狙い
自律型の芝刈り機は、ソフトだけでは売れない。現場で求められるのは、一日中動いても止まらない丈夫な機体と、故障時にすぐ部品を届ける販売網である。Electric Sheep Roboticsのようなソフト寄りの企業は、AIの腕前があっても、量産や保守で苦労しやすい。逆に機械メーカーは機体と販路を持つが、自律走行の開発には年単位の時間がかかる。
農業分野では、農機大手のJohn Deereが2017年に、雑草を見分けるAI企業Blue River Technologyを約3億500万ドルで買収した。今回の動きは、その造園版とも読める。
電動化と自律化は、実は相性がよい
電動機械は、エンジンより部品が少なく、モーターの回転を細かく制御できる。コンピューターの指示を、そのまま動きに変えやすい。ガソリン機は振動が大きく、センサー(=周囲を測る装置)の読み取りにも悪影響が出やすい。つまり電動の機体は、自動運転の土台に向いている。
加えて、カリフォルニア州では2024年から新品の小型ガソリンエンジンの販売が禁じられ、ガソリン式ブロワーを規制する自治体も多い。電動化は環境対応であると同時に、商売を続けるための条件になりつつある。
先行するScytheなどとの差は導入の手軽さで決まる
商業向けの自律芝刈りでは、Scythe Roboticsのような新興企業がすでに実機を現場に出している。ToroやHusqvarnaなどの大手も自動化を進めている。差がつくのは、AIの賢さより、現場に入れやすいかどうかだろう。敷地の地図づくりに何時間もかかる、障害物で止まるたびに人が駆けつける、という状態では省人化にならない。作業員一人が複数台を見守れる水準に届いて、初めて採算が合う。
なお、買収後の製品がどの機種に載るかは、現時点で公表されている範囲では分からない。既存の機体に後付けする形か、新型機を出す形かが、今後の発表で見えてくる。後付けなら普及は速いが、機体との相性問題が出る。新型機なら完成度は上がるが、投入まで時間がかかる。
本当の論点は、人の仕事がどう変わるか
自動化と聞くと、作業員が不要になる話だと受け取られがちだ。しかし造園の仕事で、芝刈りは一部にすぎない。剪定、植栽、清掃、顧客への説明は人が担い続ける。単調で体力を使う作業を機械に任せ、人を付加価値の高い仕事へ回せるか。そこが勝負どころである。
筆者は、機械と人の分担表まで設計して売れる会社が、この市場で強くなるとみている。機械を売るだけでは、導入後の現場で混乱が起きるからだ。
ビジネスへの影響
導入を検討する造園会社が確かめたい三つの点
検討する会社は、カタログの性能より現場での稼働率を見るべきだ。確かめたい点は三つある。一つ目は、一人で何台を管理でき、一日に何回人が手を出す必要があるか。二つ目は、充電の時間を含めて、一日の作業時間を確保できるか。三つ目は、故障した時の修理と代替機の手配が何日で済むか。
試験導入は、最低でも一シーズン続けたい。傾斜地、狭い通路、雨上がりなど、条件の違う敷地で記録を取ると、本当の実力が見える。導入前に、現場の通信環境とGPSの届き具合も調べておく。高い建物や木立が多い敷地では、位置の精度が落ちることがあるからだ。
費用は購入額でなく一時間あたりで比べる
自律型は機体価格が高くなりやすい。ただし、燃料代、エンジンの整備費、騒音による作業時間の制限が減る分も計算に入れられる。比べるなら、一時間あたりの総コストにそろえる。人件費、機械の値下がり分、電気代、保守費を合わせて、従来の乗用式芝刈り機と並べるとよい。
リース(=借りて使う契約)や月額制を選べるなら、技術が急に進んでも乗り換えやすい。この分野は数年で機種が大きく変わるため、買い切りは慎重に考えたい。導入初年度は台数を絞り、人員の再配置計画を同時に作る。浮いた人手を剪定や植栽の受注拡大に回せれば、投資の回収が早まる。
機器メーカーや販売店は連携先とデータの扱いを決める
メーカーや販売店にとって、ハードとソフトを別々に調達する時代は終わりつつある。技術企業を囲い込むのか、複数社と組むのかを、早めに決めたい。保守拠点の少ない地域では、機械の性能より修理の速さが評価を左右する。販売網の厚みは、自律化の時代にも武器になる。
利用者側は、機体と一緒に作業データも相手に渡ることになる。作業記録を持ち出せるか、他社の機器とつなげるかを、契約前に確認しておくと安心だ。
